アメリカ、イタリア、ドイツと放浪してきた我が家ですが、とうとう日本に本帰国することになりました!
今まで夫は任期制のポスドク(研究員)をして各地を転々としていました。
企業からの駐在ではなくて現地採用の研究者なので、ある程度どこで暮らすかは自分で決められます。
(もちろん雇ってくれる研究所や大学があればの話ですが)
去年の夏頃から、夫が研究を辞めて民間に就職する計画が持ち上がり、2度の一時帰国(就活)を経て、就職先が決まりました。
新しい仕事は、夫の専門分野が(多分)生かせそうな技術職です。
これまでは、民間企業ではなくて大学の教員(任期なし)を目指していました。
しかし少子化で大学の教員の枠が減り、新規採用はなかなか出ず、夫よりキャリアが上で研究員をしている方もたくさんいるというのが現状です。
そこで、このまま続けても教員にはなれないんじゃないか…と悩むようになり、思い切って方向転換することに。
新しい仕事は最先端の技術開発で、それがとても面白そうだったというのもあります。
今までやっていた研究は、趣味として土日に続けるそうです。
* * *
当初の予定を大幅に超えて3ヶ国に渡った海外生活は、私にとっても、子供達にとっても、とても大きな思い出になりました。
4年前の12月、まだ首がすわったばかりの息子(4ヶ月)とアメリカが何かもよく分かっていない娘(4歳)を連れて、ニューヨークのJFK空港に降り立った日のことを昨日のように思い出します。
入国審査の長蛇の列、大画面のモニターで流れていた事件の緊急ニュース、そして税関を抜けて一般エリアに入った途端ものすごいピザの匂いがしたこと。
リムジンで研究所に行った後、入構の手続きをした事務棟から夫の車がある研究棟まで延々歩いた時は、疲労のピークと悪路とその他諸々で死にそうでした。
あの時のどうしようもない絶望感は今でもはっきり思い出せます。
イタリアへの移動が決まった日のこともよく覚えています。
アメリカ生活にすっかり慣れ、今度はカンクンに旅行に行こうと計画していた頃、次の仕事のオファーが来た!と夫が言い出しました。
よく聞いてみれば、2〜3ヶ月後から着任、しかも行き先はイタリア。
海外は1ヶ国だけって言ったよね?!と喧嘩になり、治安の悪さを想像して軽く鬱になり、もう気分は最悪でした。
でも実際に行ってみると北イタリアであるトレントは治安が良く、人も優しくて、イベントがしょっちゅう開催さる楽しい街でした。
給料が激安だったせいで財政的にはかなり厳しく、というかトータルで赤字だったけど、人生で一番豊かな生活が送れた時間です。
ドイツでは、もう海外生活も慣れたものでした。
日本人がたくさんいるせいで日本語で診察を受けられる病院もあるし、日本人学校だってある。
現地の幼稚園に入っても日本人がいます。
さらにイタリア生活よりも給料が爆上げし(まぁ駐在員に比べたらシャレにならないレベルの極貧だけど)、フランクフルトはドイツの中心であちこちにアクセスがいいので、たくさんの街に旅行できました。
色々見られて、本当に楽しかったです。
一生分の旅行をしました。
そして気付けば、アメリカ到着時の娘の年齢を、あの時赤ちゃんだった息子が追い越していました。
* * *
保守的&内向的な私は最初、海外で暮らすなんて嫌で嫌でたまりませんでした。
羨ましいとかいい経験になるよとか言ってくる人には、じゃあ変わってよ!と本気で思ったり。
実際に海外では日本の常識は一切通じないし、大変なことも、嫌なことも、失敗もたくさんありました。
でも今振り返ってみると、そういうこともひっくるめてすごく貴重な時間だったなと思います。
優しい人たちにたくさん助けてもらったし、嫌なことより嬉しいことの方が圧倒的に多かった。
今まで知らなかった美味しいものがたくさん食べられたし、旅行では分からない生のアメリカやヨーロッパを知れて、本当に実りのある4年間でした。
アメリカもイタリアもドイツも大好きになりました。
ちなみに海外生活を楽しく過ごすのに適した性格としては、
・大雑把で細かいことを気にしない
・好奇心旺盛でフットワークが軽い
・例え片言でも自己主張する図太さを持つ
だと思います。
私すごく図太くなってしまったんだけど、日本の同調社会でうまくやっていけるんだろうか。
そして先日、娘が学校から授業で作った自分の成長記録を持って帰ってきました。
その最後のページに、
『お父さん お母さんへ
外国にいっぱい行って大へんだったけど、外国はとても楽しかったです。
また来たいです。』
と書いてありました。
それを読んで、あぁこの子本当に大変だったよなぁ…と。
娘は私に輪をかけて人見知りで内向的な性格なのに、言葉が分からない幼稚園に2回も放り込まれるという荒波をくぐり抜けてきました。
アメリカでただ一言のあいさつ「Hi」が恥ずかしくて言えずにしくしく泣いたのは、一度や二度ではありません。
でも娘は今日、「日本にずっと住むより、外国にいっぱい住む生活の方でよかった!」と言っていました。
親の都合で振り回して申し訳ないなと思っていたので、結果論とはいえ、こうして外国に来てよかったと言ってくれて少し救われた思いです。
アメリカに行った時からこのブログを始め、何か大変なことがあっても、「よし、ブログのネタにしてやろう」とポジティブに考えられたり、「何か変わったネタはないかな〜」と日々アンテナを張って面白いことを見つけたりと、私にとってこのブログはとてもプラスになる存在でした。
最近は忙しくてちょっと遠ざかってますが、なんとか今まで溜めていた旅行記を完成させたいと思っています。
いつになるか分からないけど。
今までどうもありがとうございました!
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